BluetoothPAN+ICS vs WiFiルータ
Category : モバイル日記
Published by M-naka on 2010/6/12
 最近モバイルWiFiルータが増えつつあるが、個人的にはアレは好きではない。「WiFiしか使えない機器のため」の範囲なら致し方ないと思うが、そうでなければWiFiで回線共有するのは通信速度/消費電力比でパフォーマンスが悪すぎると考えるからだ。

無論、アクセス回線は速いに越したことはない。が、実際には


■回線速度よりも機器の処理能力の方がボトルネックになる場合がある(前記事のWillcom03のようなケース)。
→機器側のせいで通信速度を「持て余す」。
■機器が小型であればあるほど、バッテリー容量が小さい
→通信速度/消費電力比の観点で、非効率なケースは見逃すべきではない。

という問題があり、何でもかんでも理論値でネットワークを組むのは間違いだと思うのだ。PCで繋ぐならまだしも、スマートフォンやNetWalkerのような小型機器で繋ぐのであれば、せいぜい1Mbpsも出れば十分だ(異論は認めるが)。そしてこれはMaxが3MbpsなBluetooth2.0+EDRで実現可能なのである。そして、言うまでもないがBluetoothの方がWiFiよりも消費電力が格段に少なく済む。

一点、Bluetoothの弱点があるとすれば、それは「セキュリティ」。WiFiであればIEEE802.1iで定める強力な暗号化規格が使えるが、Bluetoothはあくまで簡易接続であるため、そこまでの厳格なセキュリティは保たれていない。しかし、

・WiFiほど固定ロケーションで使用し続けることはない
・WiFiほど電波到達距離が長くない(Class3/100mは別)
・VPNを併用できる機器はVPNを併用すればよく、そうでない機器はSSL/TLSの併用を検討、
 SSL/TLSが使えない機器ならば、そもそもそれほど厳格なセキュリティを掛けること
 自体に疑問
  →NintendoDSやPSPの通信の秘匿性維持は、PCやスマートフォンのそれと同列に語る
   べきなのか?

ことからすると、あまり目くじらを立てなくても良いと個人的には考えている。もちろん、セキュリティも高いに越したことはないが、実態的な利用シーンと諸々のパフォーマンスを考えた場合、Bluetooth PANによる回線共有の方が上、というのが現時点での結論だ。

この意味で、モバイル向け接続機器のWANインタフェースは単体動作のときは動作モードを数Mbpsに切ってくれて構わないと考えている。それで消費電力を稼いだ方が現実的だからだ。PC直結やACアダプタ動作のときはフルレート動作する、というのが理想。

WiMAXやXGPは消費電力の問題が付いて回るそうだが、こういうアプローチを検討してくれないものか……。XGP対応W-SIMとか、別にフルレート接続なんて誰も望んじゃいないと思うのだが。