著作権法に関する今後の検討課題
Category : 知的財産法うぉっち
Published by M-naka on 2005/2/1
やはり立法で解決か……。
 HDD内蔵型音楽プレイヤー等が私的録音録画補償金制度の対象になりそう。

 個人的に注目しているのはデジタル化時代に対応した権利制限の見直しである。曰く、

 キャッシング等通信過程の効率化を目的とする複製、機器内で不可避的に生じる一時的な蓄積(複製)、機器の保守・修理に伴う複製等について、権利制限を拡大することに関して検討する。

とのことである。

 プロキシサーバ等で実行されるキャッシュ、デジタルコピー機のキャッシュ、iPodやポータブルCDプレイヤーの内部で保持されるバッファデータ等、現行法では複製と解さざるを得ないが、そうすることで利便性が高まる性質を有する複製が存在する(無論私的使用という枠内では違法とはならない)。これに関しての法的な後ろ盾が現在は一切無い。現行法の制限規定で対処できる部分もあるが、実際は私的使用の枠内から外れれば即アウト、という状態である。

 実はこのあたりの問題が修士論文のテーマだったりする。当時は(今も大差ないが)論者が少ないので取り上げるのが大変だったが。ついでを言うと担当教官が技術に疎い人だったので、内容を説明するのがどえらく大変だった(多分理解されてはいないと思う)。

 ちなみにこのあたりの問題、アメリカでは法的な手当てが存在する。利便性向上のための複製はFair Useで合法と判断され、ネットワーク経路上のキャッシュ、Googleのキャッシュに代表される検索エンジンによるキャッシュについてはDMCA(Digital Millenium Copyright Act、デジタルミレニアム著作権法)に免責についての明文規定がある。文化庁曰く、日本の著作権は世界最先端らしいが、実はこうした分野では非常に遅れているのである。確かにこの間この問題について具体的に紛争に発展した事例は無いが、取り組みが遅いと言わざるを得ない。

 ボケっとしてたら時代がやっと自分に追いつきそうな感じ。でもやっぱこのあたりの問題は自分なりに再度まとめておいた方が良さそうだ。